Another moonlight
「ものすごく好きだったわけでもないのに結婚しようと思ったりとか、相手の言うことをまったく疑わなかったりとか。よく考えたら何もかもおかしいんだけどね。私はあの頃、結婚焦りすぎて物事を正しく見極められなくなってたんだと思う。」

ユキはなんとなく、自分にもその傾向があるような気がした。

「あのー…参考までに、その話、具体的に詳しく聞かせてもらえる?」

「いいけど…。あの頃はまだショップをオープンする前でね。とにかく一生懸命働いて、オープンの資金を貯めてたの。」

8年半ほど前、エリコはいつか自分がショップを開く時の参考になればと、別のオーナーコミュニティーに入ったそうだ。

そこで知り合ったショップオーナーの男性と意気投合し、付き合い始めて半年が経った頃。

そろそろショップのオープンに向けて動き出そうかとしていたエリコに、彼は結婚話を切り出した。

結婚して、大きめの店舗付きの一軒家を購入して、そこで一緒に店をやらないかと持ちかけたらしい。

「私が扱うのはアクセサリーだし、そんな大きな店舗は要らなかったんだけど。彼は雑貨とか手作り家具なんかをあちこちで買い付けて店に置いてたらしくて、ある程度の広さが欲しかったのね。で、その一角に私のアクセサリーを置けばうまく共生していけるんじゃないかって。」

ユキはエリコの話を聞きながら首をかしげた。

(偶然…?にしては似すぎてる…。)

エリコは新しいボトルから白ワインをグラスに注いで話を続ける。

「それで、その店舗付きの一軒家を買うために手付金とか頭金が必要だから、せめて半分は出して欲しいって。」

「半分って、いくらくらい?」

ホノカが尋ねた。

「手付金500万、頭金500万。その半分だから、合わせて500万。」

「500万も?!」

「できるだけ頑張ってかき集めて、足りなかったら銀行から借りてくれって言われた。」

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