Another moonlight
「マナ、この子たちは一体いくつだっけ?」

「ん?この子たちって?」

「ユキとアキだよ。」

なんとなくミナの言いたいことがわかったマナブはおかしそうに笑った。

「あー…二人とも永遠の思春期だから。」

「何それ…。バカにしてんの?」

ユキは不服そうにジントニックを煽る。

「この子たち、友達やめたままだから顔合わせづらいんだってさ。」

「あー…友達ねぇ。別にやめてもいいんじゃね?むしろやめて良かったよ。」

マナブの言葉の意味がわからず、ユキは眉間にシワを寄せた。

「は?何それ、どういう意味?」

「別にぃ。そういや今日、でっかいガキと会ったわ。」

「え?」

「そいつ素直じゃねぇから、めっちゃ寂しがってんのに、寂しいとか会いたいとか言えねぇんだよ。で、拗ねてんの。」

マナブが誰のことを言っているのか、一体なんのことだか、ユキにはさっぱりわからないようだが、ミナはすぐにピンと来たらしい。

「あーね。これだから素直じゃないガキは…。」

「それなんなの?」

ミナは、ずっと眉を寄せて首をかしげているユキに呆れ果てているようだ。

「鈍いガキも扱いに困るわぁ…。」

「はぁ…?」

ユキはすっかり困惑している。

マナブが堪えきれず声をあげて笑った。

「とりあえず、ケンカして女の子泣かせたら、気まずくてもちゃんと謝らないとね。」

「間違いない。」

ミナが笑ってマナブに同意した。

ユキはマナブのその一言で、ようやく自分とアキのことを言っているのだとわかったようだ。

「だから…ケンカもしてないし、泣いてもないってば…。」

そう言いながらも、ユキはマナブの言ったことを思い出して少し笑みを浮かべた。

(そっか…。アキ、寂しがってんだ…。)




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