Another moonlight
外が暗くなり始めた。

アキラはついでで始めた部屋の片付けをキリのいいところでやめて、一息つこうとタバコに火をつけた。

片付けをしている時に、押し入れにしまい込んでいた卒業アルバムと、仲間たちとの思い出の写真を収めたアルバムを、しっかりと封をしていた箱から引っ張り出した。

アキラはアルバムを開き、タバコを吸いながら写真を眺めた。

写真の中ではアキラもユキも、あどけない顔をしている。

(これ、いくつの時だ?緑のリボンは2年か…中2って言ったら14歳か?)

アキラたちが通っていた中学は学年によって女子のリボンの色が違う。

1年が赤、2年が緑、3年が紺。

ユキの制服のリボンの色で、この時は何年生だったかがわかる。

(20年も前とは思えねぇんだけどな…。)

中学に入学してすぐ、アキラは同じクラスになったユキに一目惚れした。

ユキは目鼻立ちが整っていて、すらりとした足と白い肌がきれいで、他の同級生の女子よりどこか大人びて見えた。

隣の席で少しけだるそうに髪をかきあげるユキの仕草にドキドキしたことを、アキラは今でも覚えている。

昔からルリカに可愛がられていたユキは、入学して間もないうちにヤンキーの仲間の輪の中にいた。

そこには当然のごとく、ルリカの弟のリュウトもいた。

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