Another moonlight
夢をあきらめた男たち



11月初旬。

ついこの間まで暑い暑いと言っていたのが嘘のように、吹き付ける風が日増しに冷たくなり始めた。

一軒の住宅の玄関先では宅配業者の男性スタッフが届け物の荷物を家人に手渡し、伝票にサインをしてもらっている。

「ありがとうございました。」

「ごくろうさま、ありがとう。」

男性スタッフは伝票を手に配送車に戻り、次の届け先をリストで確認する。

「次は…あ、なんだ、アイツの店か。」

リストを助手席に置きエンジンを掛けると、カーラジオから人気ロックバンド`ALISON´の曲が流れ出した。

(懐かしいな、この曲…。)

アキラは今も鮮やかに蘇る遠い日の記憶に想いを馳せながら、鼻歌混じりに車を発進させた。


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