Another moonlight
仕事の後、アキラが店に足を運ぶと、カウンターの中には別のバーテンダーがいた。

「よぅ、アキ。こっちこっち。」

マナブがテーブル席でタバコを吸いながら右手を上げた。

「なんだ…マナ、今日は仕事休みか?」

「そう。たまにはゆっくり飲もうぜ。」

ビールで乾杯して、しばらくの間は他愛もない世間話をした。

マナブはビールを飲みながら、いつになく元気のないアキラの様子を窺った。

しばらくすると、マナブはウイスキーのボトルを入れて、慣れた手付きでふたつのグラスに水割りを作った。

「なぁ、アキ。夕べあれからなんかあったか?」

「別に…なんもねぇよ。」

「嘘つくなよ。アキの考えてることなんか、すぐわかるぞ。」

アキラは水割りを一口飲んで、タバコに火をつけた。

「オレの考えてることなんかすぐわかるって…オレにもわかんねぇのにか?」

「全部はわかんねぇけどな。でも、アキがユキちゃんのこと好きだってのは、ずっと前から知ってる。」

「……好きじゃねぇよ。」

ばつの悪そうな顔で答えるアキラを見てマナブは笑う。

「嘘つけ。好きで好きでどうしようもないくせに。アキがあんな顔すんの、ユキちゃんの前だけだ。」

「あんな顔ってどんな顔だよ…。」

「なんて言ったらいいのかな…。目が優しいって言うか…いっつも愛しそうにユキちゃんのこと見てる。」

マナブに思わぬことを言われ、アキラは水割りを吹き出しそうになる。

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