Another moonlight
アキラにはユキの気持ちがなんとなくわかるような気がした。

昨日いきなりリュウトとハルのキスシーンを目の当たりにした上に、いずれ結婚するつもりだとリュウト本人から聞かされた。

ユキにとっては相当なショックだったに違いない。

ユキはハルが生まれるずっと前から、リュウトのすぐそばにいた。

少なくとも、中学生になった頃には既にリュウトのことが好きだったのだろう。

だから誰に口説かれても“好きな人がいるから付き合えない”と断っていたのだとアキラは思う。

「今まではユキちゃん見てても、何考えてるかよくわからなかったんだ。ただ、アキのことは大事なんだなとは思ってたよ。でも夕べのユキちゃん見てたら、リュウのことが好きなんだなって、すぐ気付いた。」

「さすがバーテンダー…。すげぇ観察眼だな…。」

ユキのことはずっと見ていたはずなのに、自分はユキの気持ちには何ひとつ気付かなかったなと、アキラは苦笑いを浮かべて水割りを飲んだ。

「夕べ、眠ってるユキを送って帰ろうとしたら、ユキがオレの手掴んでさ…うわ言でな…ずっと好きだったのにって…行かないでリュウって…泣いてた。」

「そっか…。」

夕べのことを思い出すと、アキラの胸はキリキリと痛んだ。

アキラはそれを隠すように笑って話を続ける。

「他の男ならまだしも…まさかユキがリュウのこと好きなんて思ったこともなくてさ。リュウよりオレのが一緒にいたじゃん?さすがにヘコんだわ。結局ユキもオレと一緒ってことだ。」

「一緒?」

「ガキなりに必死だったんだよ。好きだから好きって言えなかった。」

マナブは怪訝な顔をしてアキラを見た。

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