虚空を眺めて
歩いていく内に、彼らが通っている私立高校が姿を現して行く。
太陽の容赦なく放つ、光がアスファルトに反射する。
その熱のせいで、まるで道は地獄のようだった。

「あぁ・・・死ぬ、死ぬ! あぁ、学校がゆれているように見える・・・俺も、終わりかな・・・」

月彦はふらふらとした、足取りで言う。
月彦の目には、ゆらゆらとゆれている学校が映っている。

「阿呆。それは蜃気楼だ。俺にもそうは見える」

くだらん、と言わんばかりに五郎は言葉を返す。

「つまらなねぇやつだな」

その言葉に、月彦は返す。
五郎はただ、眉を潜めるだけだった―――
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