オオカミ御曹司に捕獲されました
「来て良かったですよ。おばあさんのお許しは頂けましたし」

フッと微笑すると、玄関のドアがガチャっと開く音がした。

梨花が戻ってきたな。

「ただいま~」

梨花の明るい声がして、玄関の方に目を向けると、彼女がビニール袋を持って入ってきた。

「今、コーヒー淹れるから」

そのままキッチンに向かう梨花に、俺は声をかける。

「何か手伝おうか?」

「いいよ。杉本君、怪我してるんだから、座ってて」

「怪我?そう言えば……その右手」

梨花のおばあさんが、俺の右手に目を向ける。

「私が階段から落ちたところを杉本君が助けてくれたんだけど、その時に杉本君……右手の指を骨折しちゃったの」

佐藤の事には触れずに、梨花が俺が怪我をした時の状況を説明する。
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