オオカミ御曹司に捕獲されました
「元からああいう子です。杉本さん、あの子の出生を気にしないという事であれば、私の代わりにあの子を守ってやってくれませんか。私ももうそんなに長くはないでしょう?あの子の事が心配で、さっきも知人にお願いしたんですよ」

……その知人というのは江口さんの事だろうか?

「そんな寂しい事を言わないで下さい。梨花さんのひ孫、抱きたくないですか?」

「ふふ。その前にあの子の花嫁姿がみたいねえ」

おばあさんがどこか遠くを見つめながら頬を緩める。

きっと梨花のウェディングドレス姿でも想像しているのだろう。

「同感です。相手は僕で異論はないですか?」

笑みを浮かべながらそう問うと、おばあさんは頭を振った。

「あなたなら金目当てではないし、真剣な気持ちがなければわざわざこんな場所に足なんて運ばないでしょう?」
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