オオカミ御曹司に捕獲されました
私は杉本君の目を見て笑顔で返事をするが、涙腺が緩んでしまい涙が溢れた。

「ほらほら泣かないの」

杉本君が茶化すような声で言って、私の涙を親指の腹で拭う。

「泣いてないよ。嬉しいんだもん。私ね……ずっと杉本君ってどこか怖い人だなって思ってずっと避けてた。でも、私の家族の事まで大事に思ってくれて……凄く感動してるの。誤解しててごめんね」

「うん、その懺悔は潔いけど、こんなに梨花の事大事にしてたのに、それが伝わってなかったなんて……ショックだな」

杉本君が急に暗く思い詰めた表情になり、額に手を当てる。

「あっ、ごめんね、ごめんね!私……疑い深くって」

杉本君が落ち込むのを見て、私は慌てた。

「精神的ダメージが強すぎて、もう会社に行けないかも」

杉本君らしくないネガティブな台詞に、私はどうしていいかわからなくておろおろした。
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