オオカミ御曹司に捕獲されました
「はい」

杉本さんは箸を持つと、皿の上に並べられた肉を眺めた。

「どうした?」

「この白い物体は何でしょう?」

杉本さんが眉をしかめながら白い肉を箸で指す。

『物体』ときたか。

「それはミノ。牛の胃の部分でコリコリした食感が楽しめる」

「こっちの赤いのと白いのが混じったのは?」

「それはカルビ。脂が乗ってて美味しい」

「ああ、カルビって聞いた事ありますわ。焼く前は、こういう色ですのね。この赤いのは何でしょう?」

「それはロース。癖がなくて普通に美味しい。食べたいと思うのがあれば、焼いてみたらどうだ?」

「江口課長が今食べたのはカルビですの?」

「ああ」

「では、私もカルビにします」

緊張した面持ちで、杉本さんがカルビを箸でつまんで焼く。
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