オオカミ御曹司に捕獲されました
「脂が乗ってる分、火で燃えやすくなるから気を……‼」

“気を付けて”と注意しようとしたら、肉の周りの火が勢いよく燃え上がった。

「きゃあ‼」

箸に火がつき悲鳴を上げる杉本さん。

「火が……箸に火が‼」

杉本さんは動揺して声を上げるが、自分が箸を動かして火を避けようとはしない。

「何やってるんだ!」

見てられず杉本さんの手を掴み、火を避ける。

箸の先は黒焦げ。

「焼肉って……とても危険ですわ。命懸けですのね」

杉本さんは顔面蒼白になりながら、壁に持たれかかり息を整える。

そんな彼女を見て、俺は額に手を当て溜め息を吐いた。

焼肉が命懸けって……。

ただ、肉を焼くだけじゃないか。
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