オオカミ御曹司に捕獲されました
「もう熱はなさそうだね」

熱……?

ああ……熱があるか調べてたのか……じゃない‼

「な……な、な……」

何でこんな状況になってるの~!

あまりのショックで声が出てこない。

「大丈夫?梨花、失語症にでもなった?」

杉本君の楽しげな声が耳に届く。

何故この人はこんなにニコニコしてるのだろう。

それに、さっきからやたらと下の名前で呼ばれてるような……。

「す……す……杉本君!」

私はベッドから起き上がり、ベッドの上に正座した。

「杉本君だなんて他人行儀だなあ。昨日は『学ちゃん』って何度も呼んでくれたのに」
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