オオカミ御曹司に捕獲されました
それはこれだったのか……。

ああ、もう杉本君、何てことしてくれたの~!

「さあ、吐け。相手は誰よ」

絵里ちゃんがフォークを持って私に迫る。

「え、え、絵里ちゃん、落ち着いて。怖いよ」

激しく狼狽えながら後ろにのけぞると、勢いが強すぎたのか椅子が後ろに傾いた。

「あっ……」

倒れる‼

そう思って目を閉じると、今一番聞きたくない人の声が耳に届いた。

「何やってんの?目を離すと危ないな」

声に反応して私の身体がビクッとなる。

き、き、来た~。

お昼休みくらい心穏やかに過ごしたかったのに……。

私に逃げ場はないのか。
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