オオカミ御曹司に捕獲されました
絵里ちゃんは私の手から指を抜くと、杉本君の顔を見てガクッと項垂れた。

「杉本って結構独占欲強かったんだな」

江口課長が私の方をチラリと見て、率直な感想を口にする。

「そうみたいですね。自分でも意外ですけど」

杉本君は私の髪を弄びながらクスッと笑った。

前の席に座ってる絵里ちゃんはじと目で私を睨んでるし……。

もう嫌~‼

私を無視して進められる会話に頭痛がする。

「ほら梨花、あ~ん」

杉本君が笑顔で私を促す。

でも、その笑顔は“手が疲れる。早く食べろ。”って言ってるように見える。

……この羞恥プレイに付き合わなきゃいけないの?

杉本君はまだニコニコしている。
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