オオカミ御曹司に捕獲されました
笑顔の圧力……怖い。

目を閉じてパクッと豆腐を口にする。

あれれ?……味がしない。

私は思わず顔をしかめた。

「あれっ、美味しくなかった?豆腐の仕入れ先変えるように言った方がいいかな?」

私の反応を見て、杉本君が恐ろしい台詞を呟く。

「おい……杉本、そこまでするか?」

江口課長はそんな杉本君に呆れ顔。

「や、やっぱり、美味しいなあ。このお豆腐最高」

私は慌てて必死で演技をして取り繕った。

棒読みなのは仕方がない。

演技なんて慣れてないのだから。

私のせいでお豆腐屋さんが被害をこうむるなんて、冗談じゃない。
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