今夜、あなたの胸で……《完全版》
冷静になった今、とんでもないことをしてしまったことに気づく。


それを打ち消すように深呼吸をして玄関へ向かおうとするわたしを追いかけてくるように放たれた言葉。



「放っとけばいいだろ?」



振り返ると相変わらず熱い瞳を向けてくる琉生がいて。



「ごめん。……わたし、どうかしてた」


「は?」


「琉生とこんなこと、するなんて……」


「おまえ、俺のことを好きだって言っただろ?」


「……」



確かに言った。


さっき口にした言葉はきっとわたしの本音。


忘れたと思っていた琉生への想いは、心の奥の引き出しにしまっておいただけで。


それを開いたとたん、いとも簡単にその想いが一気に溢れ出してしまったんだ。


だからといって悠貴と付き合っている今、それを口にしてはいけなかったのに。
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