あの日ぼくらが信じた物
何日かして───────



「南の島。楽園、楽園、楽園……」

「美しい花が見たい。綺麗な鳥が見たい……」


 その日はみっちゃんの習い事が無かったので、ぼくらはいつもの神社で再びチャレンジしていた。だけど何度やっても石はうんともすんとも言わなかった。


「ねぇ、あきらくん」


 みっちゃんが恐い顔をしてぼくに向き直る。


「ど、どうしたの? ぼく一生懸命想像したよ?」


 そう言ってみっちゃんのご機嫌を窺うけど、その表情はちっとも和らがない。綺麗な顔のみっちゃんが怒ると余計に恐いんだけど、今日の彼女は特別恐くて……でもその美しさは、今まで見たどんな女優さんより際立っていた。


「あきらくんは私の事、性の対象としてしか見ていないんでしょう」


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