あの日ぼくらが信じた物
「ふふ。あきらくん、ビックリした?」


 みっちゃんはいきなりイタズラっぽくそっぽを向くと、今までの表情とはうって変わった満面の笑みを浮かべて振り返った。


「急に私が真面目な顔をしたら驚くかと思ったの!」


「なんだよ、酷いなぁ」


「ああっ? もうこんな時間だわ? 急がなくちゃ」


 みっちゃんの家は門限にうるさい。それを破ると罰として1週間。遊びでの外出及び寄り道は絶対禁止となる。

好き同士のぼくらに取っては、それが拷問に近い責め苦だったからみっちゃんの門限は最優先で守らなければいけなかったんだ。でも……。


「みっちゃん。忘れてるな?」


「え? 何を? ……ああっ、そうだった」


 ぼくらは門限厳守の秘策として、お互いの時計を10分進めてあった。

その日はお陰で普通に帰宅することが出来たんだ。


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