あの日ぼくらが信じた物
次の日───────



「あきら! いつまで寝てるの? 起きなさい」


 ぼくはとても温かくて幸せな気分で目が覚めた。母のがなり声で突然起こされたのにも関わらずだ。

これは夢の内容がそうさせていたんだろうけどぼくはその時、どんな夢をみていたのか思い出せないでいた。


「ほらあきら、光代ちゃんから電話だって言ってるのに」


 ぼくは慌てて飛び起きると狭い階段を駆け降りた。「そんなの全然聞いてない」と母を叱責しながら。


「もしもしみっちゃん、ゴメン。母ちゃんが肝心な事を言わないんだもん、待たせちゃった?」


『ううん? そんなでもないわよ? お母さんとあきらくんのことで【女同士】の話も出来たし、フフフ』


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