あの日ぼくらが信じた物
「久美から聞きました。ゆっくりしていって下さい。今夜は沢山出てるから、あっちはさぞ綺麗だと思うわ?」


 中山さんから別荘の鍵と写真を貰ったぼくらは、お礼もそこそこに早々とジャンプした。



雪原の別荘───────



「凄い! 空見て!」

「本当だっ! で、でも寒いよっ」


 シーズンオフで使っていない別荘の鍵を貸してもらったぼくらは、現地に到着すると急いで玄関を入り、暖炉に火を点けたんだ。



  パチパチッ ボボッ



 薪がはぜて炎が揺らめく。その柔らかな温もりは凍え切った部屋の空気を少しずつ暖めていく。


「でもみっちゃん。ぼく達、もうすぐ帰らないといけない時間じゃないか?」

「フフフ、あきらくん。私ね、こんなの撮って来たのよ」


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