あの日ぼくらが信じた物
「ほんとだ……ゆらゆらと……ワルツが聴こえて来そうだよ」


 この時ばかりはぼくもオーロラを食い入るように見詰めていて、折角の綺麗なみっちゃんを見損なっていた。


「あきらくんの横顔も好きなの」


 突然みっちゃんが囁く。


「でもあきらくんたら、いっつも私のこと見てるでしょう?

 あきらくんの横顔って結構レアなのよね」


 何かにつけてぼくが彼女を見ていることに、みっちゃんは気付いていたんだ。


「最初に2家族で行ったハイキングの時も、せっかく景色が綺麗だって言ったのに、あきらくんたらずっと私のことを見てるんだもん」


 そんな前からばれてたんだ。気付かれてないと思ってたのに!

それを聞いてスイッチが入ったのか、ぼくは急に寒さを感じてしまう。


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