あの日ぼくらが信じた物
「うん。青春の味だ」


 青春。まだその意味さえ解っていなかったぼくだけど、生意気にもそう思って、その何とも言えない感情を結論付けた。


「今度からはぼくの方からみっちゃんに声を掛けよう」


 そう思い立ち、いつものように丸まってタオルケットに包まれたぼくは、心身の疲れからか安堵感からか、瞬く間に夢の世界へ誘イザナわれていた。

その日見た夢はもう忘れてしまったけれど、このひと月の間に見たどんな夢より温かだった気がする。



そして新学期───────



「みっちゃんおはよう!」


「おはようあきらくん」


 また毎日のように、こうしてみっちゃんと話せる日々が始まった。

ぼくはこの日から正式に、みっちゃんの騎士ナイトとして彼女をお護りする任に就いたんだ。


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