SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
暴走族の裏事情〜絡む接点

●━━━━━━【 事件簿 】━━━━━━●



防風林の広がる海辺。


「……ハアッ、ハアッ、ハアッ、」


息を切らし、一人の少女が逃げ惑う。

もはや身につけているのは下着のみ。

砂浜に足を取られる度、汗で体が砂にまみれた。


——チカッ……


点々とヘッドライトが闇夜に光る。


「「「もお~い~か~い?」」」

「……!」


男の声が聞こえると少女の体は硬直した。


「……うっ、うううっ……」


恐怖が少女を支配する。


「「「も~い~よね~?」」」


"ブン、ブウン……ブオオンッ!"


「「「キェイ! ハッハ~ッ!! 」」」


鳴り響くバイクのエンジン音。

また"狩り"が始まった……


「いやあああ~~っ!」


無我夢中で少女は走る。


"ブオン! ……ブオンッ!"


背後に迫るバイクたち。


「「ハッハ〜ッ!!」」
「「みい~つけた!」」


男たちは楽しんでいた。

"狩り"と呼ばれるこのゲームを……


「ほ~らもっと逃げないと~!」
「次はオールヌードでちゅよお~!」
「ハ~ッ! イヤッハ~ッ!」


ゲームもこれで三回目、

狩られるたびに少女はキャミを、ショートパンツを脱がされた。

男たちの興奮も頂点に達している。


"……ブオン! ……キキッ!"


二人乗りの派手なバイクがついに少女を追い詰めた。


「ヒャッハ~ッ!」


うしろに乗っていた男が少女めがけて飛びかかる。


「……きゃああああ~~っっ!!」


辺りには少女の絶望的な声が響いた。
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