SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

髪の白い男を除くBlue dollの主要メンバーがそれぞれの世界に一人いて、それを相手に複数のD.S.Pメンバーが激しい闘いを繰り広げている。

……が、遠目で見ても今の状況がすぐに分かった。

D.S.Pが苦戦を強いられている。

すでにみんなの体はボロボロで、深手を負ったのか或いは力尽きたのか、横たわっている者も多くいる。


「……!」


ビルが建ち並ぶ街の世界に目がいった。

車が行き交う広い道路、

端に停められた車の陰に防護服を着たユリがうずくまっている。

銃で撃たれたのか、肩口からはたくさんの血が流れていた。


「ユリ!」


あたしは急いでドームに走り寄る。

でも、どうなっているのか中へは入れず声もユリには届かない。

近いようで遠い、距離感のつかめないドームの世界……

あたしは右手を握りしめる。


「ハッ!」


しるしをドームに押し付けた。
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