心外だな-だって世界はこんなにも-





「なんでそんなくだらない嘘をつくんだよ!」



涙目で美紀がそう叫んだ。



「う、嘘じゃないって。本当だから、心配すんなって!」



嘘がムキに変わったが、そのムキを許せないとでも言うかのように、平手打ちをもう一発。



パンッ!!



「嘘! そんなの嘘だ! 風邪だって? 肺が悪いだって? どうしてそんな見え透いた嘘をつくんだよ!」



「だから、嘘じゃないって!」



もうムキというよりも、怒りに近かった。平手打ちの怒り、わからず屋な美紀への怒り、そして、大事な人に嘘をつくしかない自分への怒り。怒り三原則。



美紀はビシッとその長い綺麗な人差し指の俺のベッドを指し示した。



そこには、プラカードがかけられていて、こう書かれてあった。




消化器内科

患者名:ナナハラ サトシ

生年月日:H11/1/23

担当医師:速井 晃介

担当看護婦:三原 佳子




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