心外だな-だって世界はこんなにも-





私はバスで一時間かけて病院へやってきた。



病気ではない。今、執筆中の小説の取材に来たのだ。



もちろん、病院関係者の話を聞こうとか、そういうことはできない。名もないどころか、小説というものを書き上げたことがない私が「取材をさせてください!」と頼んだところで、「はい、いいですよ。」となるわけがない。



助かる命も、助からない。




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