悲しみの涙を
30分後、治療を終え手を拭きながら近藤さん達の方に体を向ける。


「終わりました。傷は思っていたより浅くそこまで出血もしていなかったので、一命を取り留めました。

…ただ無菌の環境で行ったわけではない上、治療に入るまでの時間が大分かかった為感染症の恐れがあります。


あと、体調が急変した時の為しばらくは私が傍に付いています。」


「難しいことは分からないが、とりあえず助かったのかい?」


近藤さんは不安そうに尋ねてくる。


「はい。」


私が答えると皆は歓喜の声をあげ、抱き合って喜んだ。


「ありがとう!岸本くん、君のおかげで仲間が助かったんだ。礼を言う」


近藤さんは涙ぐみながら私に頭を下げた。


「いえ、私は医者として当然の事をしたまでです。」


「お前、何で医者ならそうと早く言わなかった?」


土方さんは最初と同じ口調で言った。


「すみません…信じてもらえないと思ったので…」


「ったく、お前が本当の事を言ってるかどうかなんて見たら分かる。」


土方さんはため息混じりにだけど、さっきより優しい口調で言った。


「まあまあ、トシ。岸本くんはこうやって隊士を助けてくれたんだ。まず礼を言うべきだろう?」


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