教師なんて…



さっきまでの話し声はどこですか、と言いたく

なりそうな沈黙が続く。




『一人で大変だろ?』


沈黙を破ったのは前島だった。


「慣れてます。もう一人のほうが楽ですし」



ちょっと強がってみせた私。
本当は、本当は毎日灯りが点いてない家に帰る
のが、苦痛でならない。




『そっか。俺は寂しいけどな』



遠くを見つめ、そう言った前島は本当に
寂しそうな顔をしていた。





「前…、先生は一人暮らし歴長いんですか?」


あの角を曲がれば家に着く。
出来れば1人になりたくない。




『俺はそうだな。大学卒業してからだから、
7年くらいになるかな』




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