教師なんて…
よかった。危うく前島と呼んでしまうところだった。
あの様子だと多分バレてない。
『もうすぐ30だなぁ』
前島の呟きに、私は始めて年齢を知った。
「もうここで大丈夫です」
『お、あのマンションか。結構良いところに
住んでるな』
親が見栄を張って借りたマンションだ。
正直一人で住むのには、広すぎる。
部屋数が3つとリビング、ダイニング、キッチン、
お風呂に洗面所。
一応、勉強部屋と寝室に分けて2つの部屋は
使っているが、もう1つは掃除に入るだけだ。
『気をつけてな、防犯対策は万全だろうが、
念には念を』
そうちょっとオヤジくさい事も言うと、
前島は『お休み』と言って、近くに止まっていた
タクシーに乗り込んだ。