雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 瞳子というのは、那子の父の妹で、所謂、那子にとって叔母だ。堅苦しい親族だらけの中、昔からやんちゃをしていた瞳子は、現在もバツ2(子供なし)という破天荒ぶりで。そんな瞳子を小さな頃から慕っていた那子は、中学卒業を機に、家出同然で瞳子のマンションに転がり込んだ。

 大会社の社長令嬢に生まれた那子は、幼稚園受験をし、大学までの一貫校に通っていたのだが、何でも言いなりにしようとする親への不満が、抑えきれずに爆発したのだ。

 最初は大激怒していた那子の父も、新たに高校受験をし、無事卒業する事を条件に、瞳子との生活を渋々ではあるが認める形となっていた。

 高校中退=実家へ強制送還。そんな公式がふと、那子の頭に浮かんで、思わず身震いする。そうならない為には、卒業するしかなく……卒業する為には、クラスで授業を受けなければならないわけで……逃げ道のない答えに辿り着き、那子は大きな溜め息を吐いた。
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