雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 また鬱陶しい連中と顔を突き合わせなきゃならないと思うと、それだけで気が重い。監視役の保健医がいないのをいい事に、那子はぐったりと机に突っ伏した。

 金髪がサラリと頬にかかり、窓から差し込む日差しが、その髪色をよりいっそう明るく透かす。何度もブリーチを繰り返したせいで、背中まである毛先は触ると少しパサついていた。


『那子、その髪、いい加減黒くしたら? じゃないと、どこもバイト雇ってくれないよ?』


 春休み、バイトを探していた那子に、瞳子が散々言っていたのを思い出す。

  瞳子の言う通り、何ヶ所か受けたバイトの面接は全滅で、結局バイトは探せずじまい。このゴールデンウィーク中にはバイトを見つけようと、既にバイト面接の段取りを明日一件組んでいた。
 
 ――バイトの面接もあるし、痛んだところもカットして、髪も黒めに染めよかな…?

 那子は机に突っ伏していた体をおもむろに起こすと、気を取り直す様に大きく伸びをした。
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