雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
青すぎる海と空が心を締め付けた
 千咲希は今まで立ち寄った店を見て回り、店の人にも聞いてみたが財布の落とし物はないと言われ、一人途方に暮れていた。

 国際通りを楽しそうに歩く人波の中、ひとまず穂香と合流しようと千咲希がスマホを手にした時。


「長原?」


 呼び止められてハッと顔を上げると、帆鷹がスマホを片手に土産物店の前に立っていた。


「あいつ、中崎は一緒じゃないのか」


「あ、うん。ちょっと……」


「もしかして、なんかあった? さっき中崎とすれ違ったんだけど、いつもと違うっていうか……」


 千咲希は迷ったが、非常事態なので思い切って言う事にした。


「実は、穂香が財布を落としちゃって」


「え、マジで?」
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