雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 帆鷹は驚きの声を上げると、辺りを見回す。


「で、二人で手分けして探してたってわけ?」


「うん。とりあえず向こうの通りは見てみたけど、見つからなくて」


 すると帆鷹の後ろから、野原絵里奈がひょっこり顔を覗かせた。


「九条くん、どうしたの?」


「ごめん、ちょっと急用」


 戸惑う絵里奈に背を向けると、帆鷹は千咲希に言った。


「近くに交番あるはずだから、行ってみよう。すぐ中崎に連絡して?」


「でも、九条くん……」


「俺、マップで交番探すから」


 帆鷹は構わず、自分のスマホで検索を始める。千咲希は訳がわからない様子の絵里奈が気になりつつ、穂香に電話をかけた。
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