雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「声でかすぎ」


『そりゃでかくもなるっつの。さっき野原絵里奈とすれ違ったけどひとりだったぞ? 一緒に行動するって言ってたのに、帆鷹、今どこにいるんだよ!?』


「中崎と長原と波の上ビーチ」


『はぁ!? 何だそれ』


「ちょっとあって。結果、流れ的にそうなった」


『だったら、俺も誘えって! ったく水くせー奴だな』


「待っててやるから、今から来れば?」


『言われなくてもそのつもり。ダッシュで行くから、そこから一歩も動くなよな』


 騒がしい新太の電話は、最後まで騒がしく、そこでプツッと切れた。帆鷹は相変わらずの新太に呆れながらも薄く笑む。ふと、何気なく視線を感じてそちらを見ると、穂香が不安気な眼差しを向けていた。
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