雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 各班毎のカレー作りが始まった。野菜を切る担当、じゃがいもの皮を向く担当、肉を炒める担当。それぞれ楽しそうに作業が進む中「おぉー」と歓声が上がったのは……。

 まな板の上で、玉ねぎをリズム良く刻む匡。その包丁裁きは見事なものだった。


「なんであんな上手いの?」


 萌果は伊万里に訊いたつもりだったが、答えたのは功だ。


「匡んち、弟と二人兄弟なんだよ。両親共働きで、ばあちゃんの介護とかもあって。だから匡が夕飯作ったりする事もよくあるらしい」


「へぇ……」


 萌果と伊万里が感心していると、匡が振り返った。


「お前ら、見てないで手伝え」


「へいへーい」


 ふざけて返事をした功を睨みながらも、的確に指示する匡は、やっぱり班長に相応しい。


「今宮、肉炒めて。平野は米研いで」


「はーい」


「……はい」


 不満ながらも素直に返事をして、作業を始める。
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