君がうたう七つの子
それから思い出したかのように声をあげて彼女に問う。

「あぁ、そうだ。レイの家の場所、教えてもらえないかな?

住所は聞いているんだけど、何分僕はこの町が初めてなうえに、方向音痴でね。

おじさんたちにもちゃんと挨拶したいから、知っていたら案内してほしいんだけれども」

僕が一番今知りたいこと。

知らなきゃいけないこと。

彼女に親戚と嘘を言ったのも、このことを聞き出しやすくするためだ。

それが功を奏して、僕の言葉に彼女は快くレイの家の場所を教えてくれた。

これで残る課題はおおかた片付いた。

本当はレイの家に乗り込む前にレイとは一度話したかったのだが、それは叶いそうにもない。

最終手段をとるか。

となると、後は僕の頑張り次第と言ったところだろうか。

暫く睡眠時間と、勉強の時間を減らさなきゃなと今後の計画を立て直して、僕は家へと急いで帰った。

レイの友人であり、幼馴染と言う彼女に出会えたことに感謝しながら。

失敗は成功のもととはこういうことかと、的外れな考えをしながら。

二日後の賭けに挑むべく、僕は僕の家へと歩いて行った。
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