君がうたう七つの子
まぁ。彼女の事に関しては、いずれ学校で会って、騙したことを白状した時にでも助言するとしよう。

素直に聞いてもらえるかは疑問が残るが、助けてもらったのだしそのくらいはした方がいいだろう。

と言うかその前に、ビンタをくらう可能性があるので、そっちにまずは注意せねばならない。

痛いのは嫌いだ。



と、ここでそろそろ現実に戻ろうかと、意識と視線を表札の横にあるインターフォンに向ける。

これを押してしまえば、もうやるしかない。

途中で止めることはできるけれど―――したくない。

僕は肩に下げたショルダーバッグのひもを右手で握りしめながら、左手でそっとインターフォンを押した。

軽快な音が鳴って、それにびくりと体を震わせる。

遅れて機械越しに聞こえる声は、あの土手で会ったレイのお父さんのものだった。

彼は驚いたようにして、少し待つように僕に言うと回線を切った。

< 137 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop