ミラージュ
「せんせー」
ふいに、聞き慣れた声がした。振り向くと良平が立っている。手には昨日提出のはずの課題プリント。良平が提出期限を守っているのを見たことがない。
あたしの横からプリントを渡しながら、「何しちょるん?」。あたしは思わず「さぁ?」と言いそうになった。寸でのところで堪えたが。
「そういえばお前ら、仲良かったよなぁ」
二人の顔をしみじみ見ながら先生が言った。頭の上にピンッと豆電球が光った幻想が見える。
ヤバい、嫌な予感。
「浅井、お前期末まで赤澤の勉強みちゃれ」
「「えぇ~!?」」
見事にダブルサウンド。良平が文句を言うのはわかるが、あたしが言えた口じゃないだろう。