ミラージュ
……………
3年のあたし達にとって、最後の大会が終わった。あたしはギリギリ6位入賞、良平は僅差で2位だった。でも二人とも自己ベストを更新できたので、それはそれで満足のいく結果だ。
そうしてあたし達の陸上生活は幕を閉じた。
「部活に没頭しちょったんはわかるけどな。じゃけどなぁ、赤澤。この成績は何とかせんにゃなぁ…」
放課後に体操服を着なくなってから1週間。冷房の効いている職員室は居心地がよかったが、あたしはジリジリと日の照るグラウンドに戻りたかった。説教を聞かされるくらいなら。
「…期末は頑張ります」
と、とりあえず返事。部活がないのなら早く帰りたいのに。
「頑張るってなぁお前。この成績からの挽回は…大変だぞ?お前、勉強の仕方わかるか?」
なんともまぁ勘にさわる言い方だ。いや、心配してくれてるのはわかる。それ程あたしの成績は酷いのだ。
今まで陸上一筋(と言ったら言い過ぎだけど)で生きてきたんだ。勉強の仕方なんか知るわけない。
…と言ってしまいたかったが、さすがにそこは口をつぐんだ。とりあえず早く帰りたい。