ミラージュ
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テストが終わって夏休みが始まって、緑色だった艶々の木々は、赤や黄色に衣替えを始めた。
あたしも半袖からまた長袖に変わったけど、もう良平が声をかけてくれることもない。
思った通りだった。夏が終われば、何もなくなる。
別にお互い無視してるわけでもないし会えば挨拶くらいはするけど、前みたいにふざけあったり一緒に帰ったりすることはもうなかった。
だってもう、二人を繋ぎ止めるものなんて何もなかったし。
お互いが違う毎日を繰り返していた10月の半ば頃、紗耶香ちゃんと良平はようやく付き合いだした。
悲しくはない。ようやく良平の恋が報われたんだもん。
でもあたしは最後まで、おめでとうの一言も言えなかった。
やがて冬が来て、頭の中は受験でいっぱいになって、それでもたまに不意に良平の笑顔を思い出したりして。
そんな毎日を繰り返して、ようやく長い冬が明ける。
枯れた木々にまた、小さな新しい緑が生まれていく。
そうしてあたし達は、この日を迎えた。