ミラージュ
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桜の木々は満開とまではいかなかったけど、天気予報で雨だった空は予想外にも機嫌よく太陽を出してくれていた。
「卒業おめでとーっ」
皆同じような筒を持ち、白い花を胸に称えている。
式場では涙ぐんでいた生徒達も、外に出たらもう笑顔ではしゃぎあっていた。
「でも、卒業式が合格発表の前でよかったっちゃね」
「言えちょる!落ちて暗い気持ちで式出たくないもんね~」
「でもとりあえずみんな滑り止めは受かっちょるんじゃし!今日は合格発表なんか忘れて騒ごうや!」
美帆の一言に、みんなだよねっと頷く。
さっきまで泣いていた陸上部の後輩達も、今は笑顔で卒業生に色紙や花束を渡していた。
もちろんあたしも可愛らしい花束と色紙を貰った。
『ナツ先輩の明るい笑顔が大好きです』
『高校に行っても絶対陸上続けて下さいねっ!』
『ナツ先輩の記録、絶対抜いちゃりますからっ!』
丸っこい可愛らしい字で書いてある色紙を眺めると頬が緩む。
大好きだった学校。
大好きだった部活。
大好きだった仲間達。
…あたしは今日、本当に卒業するんだな。