さよならはまたあとで

律太が次の言葉を続けようとしたとき、お母さんが白いタオルを持って現れた。

お母さんの間の良さは天下一品だ。

私たちはそれぞれ渡されたタオルで、濡れた肩や髪を拭いて廊下へと上がった。

リビングへ入ると、お母さんは、
「律太君、コロッケ好き?」と聞いた。

どうやら今日の晩御飯はコロッケらしい。


「好きですよ。俺もよく作ります」


お母さんの言葉にそう返した律太は、「あ」という顔をした。


「律太君、料理するの?
いいねぇ、料理できる男はモテるよ!優恵も少しは律太君を見習いなさいよ」


私は、お母さんの言葉と、それを聞いている律太の反応から、「普段から料理をする」というような発言が律太の失言だったことに気がついた。

どこがいけないのだろう。

素敵なことなのに。
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