さよならはまたあとで
「渡井君て、いつも眠そうだよね」
「いやぁ、そうでもないよ」
彼はへらっと笑う。
「そうでもないの?」
彼はうんうんと頭を縦にふると、「あぁ」と綺麗な二重のタレ目がちな目を大きくする。
「俺、目が悪いから。眠そうに見えるのかも」
「眼鏡は?」
「ここ、ムズムズするんだもん」
眉間にシワを寄せて、鼻のところを触りながら明良は答えた。
「コンタクトは?」
「こわぁい」
今度は口を尖らせて言い訳をする。
本当、子供みたい。
なんだか、ほっとけないや。
てか、絶対眠いよね?
私は目を閉じて船を漕ぎ始める明良をちょんとつついた。
彼はビクッと身を震わせると、何事もなかったかのようにら「あきたぁ」と私の手を引いてまた歩き始めた。