さよならはまたあとで
「渡井くん。実は私ね」
あのときの記憶が蘇る。
オレンジジュースの色。
燈太の笑顔。
彼の上に見えた残り1時間を切ったタイマー。
再び涙がこみ上げてくる。
「ん?」
明良は優しい顔で私の言葉を待っている。
「実はね…燈太の死期、見えたの」
明良は二重のたれ目を大きく見開いた。
「でも、私、燈太君の頭の上に見えるタイマーが何なのか分からなくて……もっと早く分かってれば助けられたのにって…」
スカートの裾を両手で握りしめながら言葉を絞り出す。
これを誰かに話すのは初めてだった。