さよならはまたあとで
「そうなんだ…でもさ、優恵は悪くないよ。誰だって分からないもん、そんなの」
明良は口を尖らせる。
言い訳するときの顔だ。
「俺だって、その場にいたのに何もできなかったんだよ?
目の前で友達が死ぬのってさ、すっげー苦しくて、どうにもならない気持ちでいっぱいになるんだよ。
その時は、俺も何かできたんじゃないかって、たくさん後悔したよ。」
細くて長い足をぶらぶらさせながら明良は息をつく。
「でもさ、俺がいくら後悔しても、燈太はもう帰ってこないんだよ。
それに気づいたらさ、燈太との思い出を大切にすることがあいつにとっても、俺にとってもいいことなんじゃないかって、そう思えたんだよ。
だから、俺はもう、後悔してない」
彼は気持ちよく言い切るとふにゃりと笑った。
確かに、明良の言う通りかもしれない。
私がどんなに後悔しても、悔やんでも、燈太は帰ってこないんだ。
燈太が残してくれたたくさんの思い出を大切にしていかなくてはいけない。
明良の言うことはよく分かる。
でも、私はやっぱり、もしもう一度燈太に会えるとしたら、きっと「ごめんね」と謝るだろう。