さよならはまたあとで

靴を揃えて玄関に上がると、私たちは小春さんのあとについてリビングに向かった。

引き戸を開けると、線香の香りが鼻をつついた。
畳の部屋に四角いテーブルがあり、その先には燈太の写真がたくさん飾られた机があった。
色とりどりの花やお菓子にジュース。
線香の香りはそこからだった。
そこには私が公園に置いていった猫のぬいぐるみもあった。

私は恐る恐るその机に近づく。

そっと猫のぬいぐるみに触れると、小春さんは「もしかして」と呟いた。


「もしかして、燈太の事故現場にそれを供えてくれたの、優恵ちゃんだったの?」


私は頷いた。


「そっかぁ。乱丸にそっくりだから、見つけた時はびっくりしたわ。
公園に置きっぱなしだと雨露で濡れちゃうと思って…つい連れてきちゃったの。ごめんね」


「そんな、その方がありがたかったです」


私はそっと微笑んだ。
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