さよならはまたあとで
ストロベリークレープ ラズベリーソース添え

「おはよう!」

私が学校に来て、1番初めに聞くのは、芹崎律太の挨拶だ。


「おはよう」


いつの間にか、私も小さく返すようになっていた。


「ねぇ、昨日優恵ちゃんが読んでた本、題名面白そうだったから買ってみたんだ。
昨日ハマっちゃって、一気読みしちゃったよ。優恵ちゃんの本のセンス、すごくいいんだなぁって実感したよ。」


彼はケタケタと楽しそうに笑いながら話す。


「買わなくていいのに」


「え?」


「私、貸すのに」


私の口から、思ってもいなかった言葉が飛び出した。

迂闊だった。

口は確かに災いの元である。


「いいの!?」


一度言ってしまったことはもう取り消すことはできない。

だって、彼はこんなにも嬉しそうに笑っている。
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