さよならはまたあとで
「やっと名前で呼んでくれた」
律太は今日一番の笑顔を見せた。
自然と出たものだったから、改めて認識されるとちょっぴり恥ずかしくて、私は目を逸らした。
なんだか今日は暑い。
音楽が鳴り止むと、律太は「そういえば」とばかりに左手首に巻かれた腕時計を見た。
「やっべ、帰らなきゃ」
彼は慌てて荷物を肩にかける。
「家まで送ってあげられなくてごめん。」
彼は申し訳なさそうにそう言った。
それから、
「今日はありがとう、すごく楽しかった。
よかったら、また」
と照れくさそうにそう言った。
私は頷く。
彼は満足気に手を振りながら、公園を去っていった。
どうして急いでいたのかは、聞く余裕はなかった。