さよならはまたあとで

「どんな子」そう聞いて脳裏をよぎるのはやはり燈太の顔だった。

間違いなく彼は燈太に似ている。


「燈太君…って、お母さん覚えてる?」


私が切り出した言葉にお母さんは、明らかに顔に戸惑いの色を浮かべた。

さっきのキラキラは、どこかへ吹っ飛んでしまったようだった。


「あの、事故で亡くなった子でしょ?覚えてるに決まってるじゃない」


「うん…その、燈太君に…すごく似てるの、顔が。本人は芹崎律太って、全くの別人なんだけどね」


お母さんは口をぽかんと開けている。


「生き別れの兄弟とか、親戚とかかしら。不思議ね」

< 50 / 256 >

この作品をシェア

pagetop